ベロニカ・コンドミの師事を受け、民俗学のとりわけ音声学の研究者でもある女性S.S.W.マリエラ・クーサ、驚きのこれがソロ初作。
冒頭の鳥たちを擬態した発声からびっくりさせられます。以前から活動するフォルクローレ・グループ- トレス・リオスの盟友マリア・ラウラ・タッサーラとマリオ・グッソも参加した打楽器のフォルクローレ・リズム、フアン・パブロ・フェレイラのギターと編曲・プロデュースを務めるマリアーノ・アグスティン・フェルナンデスと共に、マリエラ・クーサはバンドネオンまで自らプレイ、ミニマリズムに基づいたアコースティック・アンサンブルでグアラニーやケチュアにヨルバの先住民族の祖先や自然を尊ぶ儀式のことばなども織り混ぜながら正にヴォイス・パフォーマーとして叙情詩の唄を聴かせるという深みのある作品。ルーツ志向であるのに新鮮な息吹、花のほころびを感じさせるのは彼女が女性音楽家であるからというだけではないように思います。ビオレータ・パラのカヴァーm-4"De cuerpo entero"、 マリエラがチャランゴを弾き歌いチェロを従えたm-5"Espiritu"、自らのバンドネオンとスキャットに朗読を被せたm-8"Yboty"、カリンバと声で紡ぐm-11"Pajaros"など。